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数土 幸夫
日本機械学会論文集,B, 62(594), p.721 - 728, 1996/02
本研究は、高サブクーリング高流速下の限界熱流束について圧力P=0.34~3.1MPa、入口サブクーリングTin=13~210K、流路長0.1~0.29mの流路を対象に、新しく提案した解析の結果と実験結果を比較検討したものである。従来、本研究で対象とした範囲ではパラメータの効果を適切に予測する解析モデルがなかった。これに対し、加熱面上に存在する薄液膜と蒸気ブランケットに対し、薄液内で遷移域の速度分布と流路全体で乱流摩擦損失とする解析モデルが、限界熱流束について主要なパラメータを含む簡便な解析解を与え、この解が実験結果を良く予測することがわかった。特に他の条件が一定の時限界熱流束は流束のほぼ0.8乗に比例するという実験的事実を明快に示している。
数土 幸夫
日本機械学会論文集,B, 61(582), p.614 - 621, 1995/02
本報は、0.1~14MPaの広い圧力範囲で、垂直円管及び矩形流路の比較的低流量での飽和上昇二相流の限界熱流束を理論的な面から検討し、限界熱流束の発生メカニズムの解明と定量的評価を行ったものである.流路長0.15~0.6m、流路径3~7.8mm、入口サブクール0~300Kの円管流路と流路長350~780mm、流路ギャップ1.03~5mm、入口サブクール4~328Kの矩形流路での限界熱流束の実験結果と完全分離流モデルに基づく解析結果との比較から、層流液膜流中の限界薄液膜が消費される限界熱流束モデルが、低流量範囲で実験結果を良く予測することがわかった。限界熱流束の支配パラメータに、流量、圧力、入口サブクール、流路長径比並びに限界波長と流路径(又は流路ギャップ)との比があり、これらの効果を的確に評価できるモデルを提案することができた。
数土 幸夫
日本機械学会論文集,B, 60(580), p.4229 - 4235, 1994/12
大気圧近傍での垂直矩形加熱流路における、上昇飽和二相流の限界熱流束の発生メカニズムについて、解析的に検討した。その結果、流路長350~750mm、流路ギャップ1.03~5mm、流路幅が40~51mmの片面及び両面加熱流路の既存の実験結果との比較から、次の重要な知見が得られた。(1)限界熱流束発生点で、完全分離二相流を考え、層流の液膜流中に限界液膜厚さの薄液膜を考え、これがドライアウトするのが限界熱流束とすると、無次元流束G100の範囲で実験デ-タを非常に良く予測する。(2)大気圧近傍で、流路長Lと等価水力直径Deの比L/Deが70以上の本研究で対象とした既存の実験条件範囲では、入口サブクールの効果は無視できること、Lが小である程、又、Sが大である程限界熱流束は大きくなるが、Gが大になるとこれらの効果は次第に小となること、が明らかとなった。